●関西地方式●
関西の結納品は、婚礼文化発祥の地として全国に大きな影響を与え、一般に関東と比べて豪華な結納飾りを用います。結納品は、独立した台の上に松、竹、梅、鶴、亀などのお飾りを飾り、品数は5品、7品、9品等の奇数とされます。多い場合は21品ぐらいまで飾ることもあるようです。
多くの場合結納は、新郎側から新婦側へ贈るものであり、「とりかわす」というよりは「納める」という表現がされます。しかし、京都では、女性側からも後日結納を持参するとういうしきたりがあります。また、京都に近い滋賀県でも、女性側から男性側にもひと回り小さい結納飾りを贈る、「取り交わす」結納も伝統的に行われています。目録の宛名は、親から親宛てが主流です。 |
基本5点セット |
熨斗 |
のし |
鶴 |
鮑を延ばしたもの。
相手を敬う気持ちを託した祝儀の象徴で、格の高い贈り物です。上に鶴を飾ります。
また不老長寿を表します。 |
寿恵廣(末広) |
すえひろ |
亀 |
純白で無垢の表現と、末広がりの繁栄を願う飾りです。 |
結納金
(小袖料・帯地料) |
ゆいのうきん
(こそでりょう・
おびじりょう) |
松 |
宝金とも表されます。
昭和20年頃までは、花嫁衣裳や帯地を贈っていたため、小袖料とされています。 現在ではほとんど現金を包みます。 |
清酒料・柳樽料
(家内喜樽料) |
せいしゅりょう・
やなぎたるりょう |
竹 |
本来は朱塗りの柳樽という酒樽のことで、祝酒を持参した名残から清酒料または柳樽料と記します。現代では多くの場合現金を包みます。 |
松魚料 |
まつうおりょう |
梅 |
鰹節のことで、勝男節・勝男武士などとも書かれますが、強い男性の象徴です。実物のかわりに金子を包むことが多いようです。 |
+
基本7点セットの場合のブラス2点 |
結美和 |
ゆびわ |
最近では婚約指環を結納品に加えることが多くなっています。戦後に、欧米の習慣が日本へ広がりました。定着したのは昭和40年頃からです。 |
高砂人形
|
たかさご
にんぎょう |
小謡「高砂」に由来したもので、尉(じょう)と姥(うば)の人形を嶋台の上に飾ります。共に長寿を願う祈りを込めています。 |
+
基本9点セットの場合のブラス2点 |
寿留女 |
するめ |
日持ちがよく、保存にきくため、「不備をかためる」という意味と、「かめばかむほど味がでる嫁になってください」という意味をこめて贈られます。 |
子生婦 |
こんぶ |
「よろこぶ」に通じることから、昔から祝い事には欠かせないものとなっています。また、子宝に恵まれるようにという願いをこめ、「子生婦」という字で記されます。 |
|
■滋賀県
滋賀県は、琵琶湖を囲んでエリアがわかれているため、少しずつ風習や品物も違います。また、現在でも家族書・親族書をつけることが主流のようです。
|
湖北
風習
湖北・長浜地方では、結納前に、特級酒一本か二本(きめ酒)と寿留女10枚を女性側に贈ります。また、ちぎり盃などの風習もあります。最近では、酒・寿留女を結納と一緒に納めることもあります。
女性側からは受書を出します。
結納品
基本的には「基本7点セット」ですが、結納金と帯地料がそれぞれで包まれ、松魚料はありません。
金額の割合は、「結納金7:帯地料2:酒肴料1」の割合で包みます。
|
湖東
風習
湖東でも、ちぎり盃などの風習があります。結納飾りは11品が主流で、品数が多く豪華です。
結納品
彦根周辺では、結納品は「熨斗・寿恵廣・結納金・帯地料・家内喜樽料・松魚・寿留女・子生婦・友志良賀・結美和・高砂の11品とします。
近江八幡周辺では、結納品は「熨斗・寿恵廣・宝金・帯地料・家内喜樽料・松魚・寿留女・子生婦・友志良賀・結美和・高砂の11品とします。結納金は、宝金にいれ、その1割を帯地料・家内喜樽料にわけて贈ります。 |
湖南・湖西
風習
京都に近い為、京都の習慣と同じです。
結納品
結納品は、「熨斗・寿恵廣・帯地料・柳樽料・松魚料・結美和・高砂・寿留女・子生婦」
の9品となります。結納金は、帯地料にいれ、一割を柳樽料と松魚料に分けて贈ります。 |